あさかわまちが生んだ偉人-052/093page
年でした。そして、まちがったことのきらいな、正義感の強い少年でもありました。
「稔、どうしても、けんかのわけを母ちゃんには言えねのか。」
「…。」
「そうか。でも、稔。人をきずつけることは、けっしてしちゃなんねえぞ。」
母の言葉に稔はだまってうなずきました。
「ところで、稔。おめえ、大きくなったらなにになりてんだ。」
「おれ、軍人さんか、会社を作って社長になっちんだ。そして、父ちゃん母ちゃんを楽にしてやっちいんだ。」
稔の言葉に、母は涙をうかべていました。真っ
赤な夕日は、稔親子の顔を赤くそめながらしずんでいきました。