西郷村社会科副読本 DATA BOOK-069/147page

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道の途中で道のよせにバクヂしてるつうだない、「はてな、こういうどご通って行くにはとってもおっかなくて(恐しくて)通らんに、なじょに(どのように)しっぺ」と思ってたら、年とうった婆さんが、ほら、杖ついて来たんだつうんだ、「あのう、おめはこれがらどこまで行くんだ」って、「おら部落まで下(さ)がんだ」って、ほんじゃらおれの着物着てげ」って、それがらその婆(ば)っぱ着物ぬいでくっちゃがら、着物着てのよせ(わき)を通ったらば、「なんだ、がさがさ音(ず)しるな」つうわけなんだ、ばくちぶちがよ、んじゃ音しるなんちゅうがら、ずっとよせ通ったらよ、「大したがま蛙だ、がま蛙がはってぐだ、その蛙殺すが」なんて言う者も居んだって、「いや、殺さね方がいいべ、あんまり大きいがら殺さんに」つうごどで、ようやくのごどでそこを通りぬけて来て、婆っぱの着物着たままで家へ入ったんだ。
 「なーんだ、こけ、大した蛙がかけこんだ」ちゅうわけなんだ。
 「いや、蛙でねえ、おれだって、娘だ」って、その着物ぬいだらば、はあ、本当の娘になっちゃって、蛙が助けてもらったから、助けたわけ、そこで、話栄えだない。

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