社会資料第3・4学年 わたしたちの村たいしん-064/105page
狐火(民話)
昔、下小屋の清太というおじさんが、となり村の美里の親せきの結婚式によばれて行った。
酒もりは夜中までつづき、清太おじさんは、塩さけやおり箱などをもらって、ちょうちんを、ぶらさげて、ほう坂峠という山道をとおってきた。
ところがあちらにもこちらにも灯がともり、ひるまのようである。すると一人の女の人があらわれて、「おじさん、にもつ重そうだね、わたしがもってあげる」というので、これさいわいともってもらった。
すると女の人はどんどんはしっていく。なにげなく清太おじさんも手ぶらでついていくと、そっちにもこっちにもみかんが落ちている。
これはこれはと思い、これをひろい、たもとに入れると先の女の人がきて「私はここで」といい荷物を返した。ひろいものはしたし、女の人に荷物はもってもらったし、気をよくした清太おじさんは、元気よく家に帰ってきた。
家族の者は、泊まってくればよかったのにというと、今晩はつれがあったのでよかったと、おつつみをだし、たもとからみかんを出した。これをみた家族の人たちはおどろいた。なんと馬のふんと、からのつつみであった。
清太おじさんの背中に狐の毛がいっぱいついていたとか。