塙町の文化財 -074/105page
埋蔵天然文化財
塙の貝化石
塙町の貝化石層は、学術的にはなかなか貴重な存在で、地質古生物の上でさまざまな問題が提供され、生物進化の過程が一層鮮明になるだろうといわれている。アイソトープの半減期から調べると、約二千万年から二千五百万年以前のものと言われている。塙町西河内窪田地内の作業現場では、採掘のため表土は取り除かれ、高さ五mの垂直な露頭には大小の貝化石がびっしりと乱雑に入っている。
貝化石は久保田層の下部にあり、層状をなして堆積しており、保存状態も比較的良好で、暖かい海水にすんでいた貝の化石が多く産出している。
産出する化石を一個ずつ取り出してみると、二枚貝では一つずつばらばらになっている方が多いのに気づくが、中には二枚しっかりしているものもあるので、運ばれたとしてもそんなに遠くから運ばれた物ではないことは確かである。
また、西河内の含貝化石層は採掘のために坑道が縦横に掘られているので、坑内に入ると保存のよい貝化石が坑道の両側に現れている。
カナツボ石
常豊地区の一部で産出する。
外部は、砂鉄または鉄鉱石のようなものでできており、中に砂がつまっている。穴をあけ中の砂をとると、壼になる。
形は様々であるが、主に球形、たまご形、ひょうたん形で、大きさは小さなもので五ミリ、大きなもので三八五ミリのものが見つかっている。最も多いものは二〇〜三〇ミリのものである。
成因は、カコウ岩のまわりに鉄が付着し、風化してできたと推論されているが、明らかでない。