塙町の文化財 -087/105page
塙町の絵馬
「楠公父子の別れ」(子育地蔵堂内)
大字塙字本町四五の二
本堂は昭和五年に新築されたもので、本尊は廃寺・地蔵院より移され、この奉額も地蔵院より移されたものであろう。
材質は杉材で、色彩が施してある。
銘文は以下の通り。
「奉献 大平右源太宗直 文久二壬戊七月良辰」
「御詠歌」(薬王寺薬師堂)
大字台宿字大久保五三
本堂入口の上に掲げてある。奥の院があった米山参道には四国八十八ヶ所を祀った石仏があり、本額もその信仰より掲げられたものである。材質は杉板材で刻文ば白塗してある。銘文は以下の通り。
「五十五番 伊豫國三島宮
このところ みしまにゆめも さめければ へつくうとても おなし すいじゃく 敬白
文政十一歳子三月」「湯舟観音堂の絵馬」(湯舟観音堂)
大字山形字桜下一三四
湯舟観音は馬の守護仏として広く茨城県内からも参詣があった。特に小絵馬が多い点では県南随一であろう。最古のものと思われるものは「文政二庚寅星初春」の銘があるものだが、屋外にあるので風雨蝕が甚だしい。
「武者絵」(東浄寺薬師堂)
大字川上字薄久保三三
横長の家形絵馬で、板のつなぎ目の部分が剥落して絵は明瞭でない。款記は上部と左に
「奉納御宝前 宝暦十庚辰九月吉祥日 願主 鈴木小治良 藤田平作」
と見える。
また、堂内に天明八年二月にここで開かれた句会の奉額があるが、材料は腐朽して読み難く、わずかに十六人の俳名が読みとれる。