鮫川村勢要覧 -006/022page
森羅万象 SAMEGAWA時代を越えて息づく思い。
むかしむかし、この大石は、まる山というところにありました。赤坂の殿さまが、このすばらしい大石に目をつけ、何十人という人夫をつかい、少しも傷つけず、 お城の庭に運ぼうとしましたが、真坂までくると、大地に根をおろしたようにぜんぜん動かなくなてしまいました。そして、「この大石は、真坂の主になりたいのだろ うから、このまま、動かさないほうがいいだろう。」と、道のまん中にそのままおいていったそうです。
しかし、ここには、不心得者ののんべえ夫婦がいました。その晩、酒によって千鳥足で歩いてくると、この大石にさっそくぶつかりました。そして、「なんだなんだ、 じゃまな石だ。おれさまのおとおりを知らないか。」と、夫婦はこの石をののしり、ぼうげんのかぎりをつくし、おまけにジャージャーと小便をかけ、意気ようようと ひきあげていったそうです。
ところが、夫婦が家に帰ってねようとすると、急にへんなところが痛みだし、子供ができない病気になってしまいました。しかも、あの大石に悪いことをした時間にな ると、痛みはさらにひどくなりました。