鮫川村勢要覧 -007/022page
森羅万象 SAMEGAWA時代を越えて息づく思い。
遥かむかしからそこに佇む野仏。
祈りの心を今に伝える伝統芸能。
村の歴史をつづる史跡の数々・・・。
これら先人と私たちとを結ぶ大切な文化遺産を守り、後世に伝えながら、
私たちは、鮫川のまた新たな歴史と文化を生みだしていきます。数か月後、夫婦はいくらたっても病気がよくならないので、あの大石のたたりにちがいないと、自分たちのしたことをふかくくい、なみだをながし大石にゆるしを こいました。すると、「きよめてくれー。酒で洗ってくれー。」と、大石の声がきこえました。夫婦は、いわれたように酒をよういし、心をこめて、大石をすっかりと 酒で洗い清めると、痛みはなくなり、病気はまもなくなおってしまいました。それからは、この夫婦はまじめになり、酒もぷっつりとやめて、毎日この大石を酒で洗い きよめるのを日課としたそうです。
この高さ五メートル、重さ約百八十トンの大石は、村の人から取上石とよばれるようになり、子供のできない夫婦は、二人そろって酒で大石を洗うと、子供ができるといわれ るようになりました。また、お産の前に、取上石をさするとなん産からのがれられるとも、いわれるようになりました。
そして、いまでも、田植えの前になると、おみきと赤まんまをおそなえし、安産と五穀豊じょうを願い、おいのりしているそうです。