ふるさとのむかし話-020/42age
つかもと長者
むかしむかし、馬を使っていわきの浜から塩をはこび、たくさんの使用人と塩ぐらを持ち、この地方の塩の供給元として大変あがめられ、何不自由のない生活の、つかもと長者とよばれた富豪がおりました。しかし、この長者にもひとつだけ悩みがあり、それは子供がないということでした。
ある時、一人の旅の行者がおとずれ、「あなたがたは、長年の間、馬をこく使したので、そのたたりで子供がさずからないのだから、観音さまを信こうするように。」といわれ、長者夫婦は子供ほしさに、観音さまに毎夜そろっておまいりし、「どうぞ子供をおさずけください。もし、さずかったならば、われわれのうちどちらでも、四年たてば一命をたたれてもかまいません。」と、悲願のちかいをたてました。やがてそのかいがあってか、玉のような女の子が生れ、長者夫婦の喜びようは、たとえよう