体験学習の手引き-004/033page
(2)下地付け
下地付けには、渋下地と錆下地の2通りが行われます。渋下地は、豆柿の渋に炭粉、松煙(松の木を焼いて作った油煙)、または普通の油煙を混ぜ合わせたものを塗り付け、研ぎを繰り返した後で柿渋を塗ります。渋下地は厚くないので、上塗り後2、3年すると上塗り肌にヤセが生じ、独特の味がでます。錆下地は、生漆にとの粉を混ぜ合わせ、これを塗り付けます。平らでなめらかなじょうぶな下地です。下記の 1)〜8) までは、渋下地付けのおよその工程です。
(3)塗り
漆塗りは、下塗り、中塗り、上塗りの順序で仕上げられます。上塗りには、花塗、木地呂塗が一般的です。花塗は、会津の場合、卵の白味を漆に混ぜています。これによって、漆の流れ、むら、ちぢみなどが防げ、ボッテリとした塗り肌になります。木地呂塗は、木目を生かした塗りかたです。塗りかたは、丸物と板物では違いますが、塗りの勘どころは、ちぢみのできないように塗ることです。ちぢみというのは、漆がのびないでかたまってしまうことです。塗師の筆さばきは、何十年という経験によって支えられてきており、言葉では表現できないといわれています。
(4)加飾(蒔絵・沈金)
漆器で加飾といえば、蒔絵はその代名詞です。蒔絵は、漆を塗った漆器にさまざまな絵や模様を描くことです。蒔絵をかく人を蒔絵師といいます。沈金は、漆羅の表面に絵などを彫り、そこに金箔をほどこすことです。蒔絵はたくさんの方法があり、これらの方法は長い間に完成され、会津に伝統的に伝わっています。
例 漆塗りの順序(重箱)
1)刻苧彫り……木地のつなぎ目などを彫る。
2)木がため……生漆を木地にすりこみ、防水性をもたせ、狂を防ぐ。
3)刻苧かき……刻苧(生漆に木くず粉と飯のりをつぶし混ぜたもの)を彫ったところなどにつめこむ。
4)布着せ………布(または紙)をつなぎ目などに漆のりで張りつける。
5)地炭付け……目を止めるために、松煙を漆茶椀の中で柿渋でといたものを塗り付ける。
6)錆付け………松煙の目を止めるために、うすく錆(との粉を生漆でといたもの)をかける。
7)きず見………ひびやきずを直す塗りをする。
8)研ぎかえし…から渋(柿渋になにも混ぜないもの)を塗り、と石で研ぐ。
9)下塗り………下塗り漆を塗る。
10)下塗り研ぎ…朴炭、静岡炭で水をつけて研ぐ。
11)中塗り………中塗り漆を塗る。
12)中塗り研ぎ…朴炭で水をつけて研ぐ。
13)上塗り………上塗り漆を塗る。
重箱
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