すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -002/197page
ふとかし子の眼にとまったのが、その箱でした。チリメンの赤い布(ぬの)が、ひどくきれいでした。布だけがきれいにみえました。
かし子は、その箱(はこ)から、布だけをはぎとりました。はぎとった布を子にかざしてみると、うす暗い部屋(へや)の中で、その布は、とてもりっばな宝物(たからもの)にみえました。
外出から帰ってきた養母(ようぼ)は、布をはぎとられて部屋のすみに投げ捨(す)てられた厚紙(あつがみ)の箱をみつけました。
「まあ、なんてことをするの、この子は。