すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -014/197page
明治15年6月29日、フェリス=セミナリー(現在のフェリス女学院)では、第二回の卒業式(そつぎょうしき)を行いました。卒業証書(しょうしょ)をもらった、ただ1人の卒業生は、そのとき、たくさんの在校生やお客さんの前で、英語でどうどうと演説(えんぜつ)しました。その卒業生が、かし子、後の若松賤子(わかまつしずこ)でした。19歳のときでした。
かし子は、甲子とも書きます。これは、かし子が生まれた年、1864年の昔ふうの年のよび方でした。昔の暦(こよみ)のよび方で、暦はこの甲子(きのえね)からはじまるので、甲子(かし)とはめでたい意味がこめられた名前だったのですが、かし子の幼年時代は苦しみの連続(れんぞく)でした。
はげしい会津戦争から母の死、つづいて一家はちりぢりになり、養女(ようじょ)としてもらわれていった先での養母との気まずい思い 幼い心にうけた痛手は、いつまでも心に残ったことでしょう。
みょうじも、生まれた家の松川(まつかわ)、養女(ようじょ)に行って大川(おおかわ)、ようやく父のもとにも