すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -089/197page
えるのは、炊事(すいじ)や裁縫(さいほう)といった家の中のことばかりでした。それでも細(こま)かい手先の仕事の好きなリンは、会津の城下町でもっとも裁縫のじょうずな娘という評判(ひょうばん)がたてられるほどになりました。
このように評判のよかったリンは、17歳のとき、藩(はん)の重臣(じゅうしん)の海老名季久(えびなすえひさ)の子、季昌(すえまさ)のところに嫁入(よめい)りしました。季昌も会津藩の中で将来(しようらい)を期待(さたい)されたすぐれたオ能(さいのう)をもっている人でした。5歳のころから塾(じゅく)で漢学(かんがく)などを学び始めたほどでしたが、8歳のころからは、父が藩の命令で房総(ぼうそう)半島や蝦夷地(えぞち)(今の北海道(ほっかいどう))の警備(けいぴ)にあたっていたので、父と共に各地をまわって、学問や武芸(ぶげい)だけでなく、実地(じっち)の勉強もしていました。
リンが季昌と結婚したころ、会津藩では、殿様の松平容保(まつだいらかたもり)が京都守護職(きょうとしゅごしょく)を命ぜられていたので、多数の武士が京都に行っていました。夫の季昌も京都に行ったりして活躍(かつやく)していましたが、慶応(けいおう)三年(1867年)には、将軍の弟であ