すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第1集) -148/197page
なることかと、全世界の目が北京(ぺきん)に注がれました。そのとき、陸軍中佐として北京の日本大使館に駐在(ちゅうざい)していた柴五郎は、連合軍の指揮官(しきかん)におされました。四十二歳であった柴中佐の沈着(ちんちゃく)で果断(かだん)、そして勇かんな態度は、各国の賞賛(しようさん)をあびました。とくにイギリスは、この事件のあと、勲章(くんしよう)をおくってその功績(こうせき)をほめたたえたほどです。
柴中佐にとっては、少年時代の、言葉には言いあらわせない苦しみをのり越えてきたことを思うとき、どんな困難につき当ってもたじろぐことはなかったのでしょう。
この事件のあと、戦いに勝ちほこった各国軍が、北京市内で略奪(りゃくだつ)や乱暴(らんぼう)を働いて中国人の非難(ひなん)と反感をかいました。このような中で、柴中佐は自分の指揮(しき)する兵士に向って、厳(きび)しく規律(きりつ)をいましめ、逆に中国人を保護する態度に出ました。戦いに負けたものが、どんなに悲惨(ひさん)であるかを、身をもって体験し、誰