すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -016/203page
「きみは、フランス語の医学の本を読んでいるね。どこでフランス語を勉強したのかね。」
「はい、ぼくは、教会(きょうかい)の牧師(ぼくし)さんと中学の先生に、教(おそ)わりました。」
この程度の勉強で、フランス語の医学の本を読みこなす清作の語学のカとその努力に、血脇先生は、おどろくばかりです。
ある日、血脇先生を案内して、若松の町を歩いていたとき、
「きみの勉強は、すばらしい、もし、東京にくることがあったら、たずねてきなさい。」
との一言が、清作の心を動かしました。「血脇先生が、ぼくを認めてくれた。ぼくは、医者になることができるのだ。」と、ますます勉強にはげみました。
やがて、清作は、二十歳になり、東京へ出て、医者になる試験を受けることにしました。