すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -031/203page
「でも、きみのそのからだでは。」
と、フレスキナー所長は、心配しました。実は少し前に、英世は、病気をしてなおったばかりで、しばらく静養(せいよう)していたからです。
英世の気持ちは、きまっていました。まだ正体(しょうたい)のわからない黄熱病の病原菌をつきとめることが、自分の仕事だと考えていたのです。
エクアドルに着いた英世は、スペイン語であいさつをしました。病気静養中に勉強したことが役に立ったのです。エクアドルの人々は、英世の熱心な研究態度と親しみのある人格(じんかく)をしたって、研究に協カしました。
着いた翌日から、病院の一室を使い、研究にとりかかりました。患者(かんじゃ)から出てきた菌を培養(ばいよう)し、実験をかさねました。毎日が顕微鏡(けんびきょう)とのたたかいでした。九日目、ついに、あやしい菌(きん)を見つけました。
「これが、黄熱病(おうねつびょう)の病原菌(びょうげんきん)だ。」