すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -036/203page
「わたしには、わからない。」
と、つぶやいてしずかに目をとじました。
英世は、何を考えていたのだろう。何がわからなかったのだろうか。黄熱病にかかったことなのか?病原菌のことなのか?
しかし、細菌学者野口英世らしい最後の言葉だと思います。
昭和三年(1929年)五月二十一日、日本のかた田舎(いなか)、会津のほこる猪苗代湖のほとりで生まれて、てんぼうになった野口英世は、世界の中で自分の持てるカを爆発(ばくはつ)させ、五十一年六ヵ月の一生を終えました。
「野口死す」のニュースは、すぐに全世界に広がり、各国の新聞は、「全人類の恩人を失った」と最高の表現で報道(ほうどう)しました。
「人間ダイナモ」と言われ、ねむる時間も忘れて研究を続けた野口英世は、今ニューヨークのウッド・ローン墓地に埋葬(まいそう)され、永遠の眠(ねむ)りについています。