すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -106/203page
り職人、石切り職人を中心とした人夫も集まりました。
いよいよ作業にかかる前の日、豊助は、エ事にあたる人や飯盛山の近くの農民たちを集めました。飯盛山には弁天(べんてん)さまをまつった神社があって、飯盛山に洞門(どうもん)などを掘れば神さまの罰(ばち)があたるだろうといううわさを聞いたのです。豊助は藩のための工事であることをよく説明し、神主(かんぬし)さまにエ事の無事(ぶじ)を祈(いの)ってもらいました。豊助自身も、また集まった人たちといっしょにお祈りをして、人人の不安とおそれをなくしてエ事を始めることにしたのです。
飯盛山に、大地を掘るつちの音がひびき始めました。初めての経験ですからエ事はしんちょうに進められました。少し掘っては磁石(じしゃく)で方向をたしかめ、位置を確実に計算しながら進んでいきました。
幸(さいわ)い、飯盛山は火山からふき出したものがたまってできた岩なので、掘りやすく、掘ってもくずれません。鉄分(てつぶん)も少ない地質なので、磁石の示す方向にも