すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -145/203page

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ったくとりあってくれません。

 伊策の頭の中に今までの道のりがうかんできました。会津若松までの40キロの道のり、東京までの長い汽車の旅、道もわからずさまよい歩いた東京の町並(な)み、何のためにここまで来たのか、―伊策には、また新しい勇気がわいてくるようでした。

 「私は、山の中の小さな学校ばかりですが、長い間、子どもたちの教育に努カしてきました。小さな子どもたちといっしょになって、わかりやすく覚えやすい珠算の方法はないものかと考えつづけてきました。そして、ようやくたどりついた珠算の勉強法を、ここに持ってきたのです。このまま帰るわけにはいきません。どうか、局長さんにお会いできないでしょうか。」

 頭をあげて、眼をかがやかせながら頼みこむ伊策の熱意に動かされて、伊策は局長室に案内されました。


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