すばらしい先輩たち 会津人のほこり(第2集) -144/203page

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でした。

 そのころは、下郷(しもごう)町までの鉄道はまだ通っていなかったので、伊策はまず会津若松まで、約40キロの道を歩いて行きました。会津若松から東京までの汽車も、速度もおそく、約10時間以上かかりました。

 やっと東京へ着いたものの、文部省はどこにあるのか、まったくわかりません。桜の花も散って暑さを感じるようになった東京の街(まち)は、関東大震災(かんとうだいしんさい)のあとの復興(ふっこう)をめざして、にぎやかさをみせていました。

 あちこちで道をたずねながら、竹平町(たけひらちょう)にある文部省にやっとたどりついてみると、まだバラックのような仮(かり)の建物でした。すぐそばの皇居(こうきょ)のお堀の水に、ようやく芽(め)ぶいたばかりの柳(やなぎ)の枝がきれいにうつっていました。

 まず、図書局(としょきょく)に行って「珠算関係の先生にお会いしたい。」とのべてお会いした先生は、伊策の説明をきくと「珠算の教科書を変えるつもりはない。」と、ま


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