北会津の昔ばなしと伝説 -010/238page
3 キツネにだまされたじいさま
むかし、むかし、あっただど。
今日も仙蔵(せんぞう)じいさまは、町さ大根だの、ねぎだの天秤棒(てんびんぼう)でかづいで売りにいっただど。
いつものとおり売り終わっと、川向(かわむかい)の店でいつものように、(注1)もっきり飲むんだど。
その日も、一杯が二杯になって、ばあさまの土産(みやげ)にニシン一束(ひとたば)買っただど。
そうして、ほろよい気分で帰ってきただど。
秋の日は、つるべおとしっていって、あっという間に暗くなってしまうだ。
急いで大川渡って川崎(かわさき)の裏(うら)を通って、ハンの木が4、5本生えて、ススキが茂(しげ)って淋(さび)しいタカハシの近くまで来ると、若い姉様(あねさま)がじいさまの先になったり、後になったりしてついて来んだど。
じいさまは、