北会津の昔ばなしと伝説 -020/238page
5 まるやまおさん
むかし、むかし、ぼうやまと呼ばれている林が下野(しもの)村から本郷(ほんごう)へ続く道にあっただど。
そこは、昼間でもうっそうとしておっただど。
(注1) おひつ [お日市(ひいち)]よばれという呼び呼ばれをあっちこっちでひんぱんにやっておった頃(ころ)の話だど。
村のあるじいさんが、お酒をご馳走になって帰るころには、日も落ちて暗闇(くらやみ)の中を歩いて帰るのが、いつものことであっただど。
ぼうやまあたりを歩いて通るころには、真っ暗な中を酔(よ)っぱらって村の明りを目指(めざ)して行くのだが、歩いても、歩いても、なかなか家へたどり着けずに、だいぶ時間が経(た)った。
そして、気がつくとおみやげに貰(もら)ってきた餅(もち)や魚が無くなっていたんだど。
なんで、そんなことが起こったのかというとそれは、まるやまに住む女狐(めぎつね)のしわざだっ