北会津の昔ばなしと伝説 -026/238page
「ばあさん、行って来るよ。」
と出かけただど。
じいさんは、高い宝の山を目指してどんどん山の中に入り、きの根坂を登り、岩山の峰(みね)を越えて、大きな石の重なる間を通り、ようやく頂上にたどり着いただど。
「やれやれ。」
と岩に腰(こし)を下ろして、煙草(たばこ)を吸いながら、雲海(うんかい)に浮(う)かぶような四方(よも)の千里 (ちさと)の風景(ふうけい)を眺(なが)め
「なんと、すばらしい奇麗(きれい)な里(さと)住(ず)まいであろうか。」
と、すがすがしい大気の中に、感激(かんげき)して、
「ああ、ばあさんに一目(ひとめ)見せたい。」
と思っただど。
雲のたなびく彼方に一ヶ所光り輝く目立って美しく奇麗な里が見える、見えているうちにその処(ところ)に行って見たい、飛んで行きたい気分になってひとり言を言うと、手に羽根(はね)が生