北会津の昔ばなしと伝説 -055/238page
17 酒(さけ)に酔(よ)わせて百文(ひゃくもん)チョロリ
むかし、むかし、あっただど。
あるところに、吉平(きちへい)という悪さばっかりしている者がいただど。ある時、中荒井村(なかあらいむら)にとっても奇麗(きれい)な娘さんがいると聞いただど。そこで、
「夜這(よば)いでもしてくれんべ。」
と思って昼間のうちから家の棟木(むなぎ)の上に登って、夜になんのを待っていたんだど。
夜になって、娘が風呂から上がって、手鏡(てかがみ)を見ながら髪(かみ)の毛を摺(す)いていたら、手鏡(てかがみ)の中に棟木(むなぎ)の上に男が上がっているのが映(うつ)っただど。それで、娘がびっくりたまげで、大声で、
「おどっさぁ。おがやぁ。早く来てくなんしょ。」
と棟木(むなぎ)の上に男が居(い)るって騒(さわ)いだもんだから大変だ。