北会津の昔ばなしと伝説 -058/238page

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18 菖蒲湯(しょうぶゆ)の由来(ゆらい)

 むかし、むかし、ある娘のもとに夜な夜な通(かよ)う男がおっただど。

 ある晩(ばん)のこと、一人のはずの娘の部屋からヒソヒソ声が聞こえるのに気づいた親がそっと覗(のぞ)いてみたんだど。そしたら、たいそう立派(りっぱ)な男と娘が親しそうに話をしていただど。

 見かけたことのない男を不審(ふしん)に思った母親は、娘に、男にわからぬように帰り際(ぎわ)にその男の裾(すそ)に糸を通した針(はり)をさしておくようにいただど。

 次の日の晩、娘は母親に言われたようにそっと裾(すそ)に糸を通した針(はり)をさしただげんじょ、男は針(はり)をさされたのもまったく知らずに帰っていっただど。

 翌日、母と娘はその糸をたどっていくとなんとそこには、娘の縫針(ぬいばり)をつけた大蛇(だいじゃ)がにゅるにゅるととぐろを巻いておっただど。

 たまげた母娘は、一目散(いちもくさん)に逃げ帰っただど。


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