北会津の昔ばなしと伝説 -064/238page
にしただど。
そうしたら、その若者は、他の奉公人(ほうこうにん)とは違って、一生懸命骨身(いっしょうけんめいほねみ)おしまずに、来る日も来る日も寝る間も惜(お)しんで働いたんだど。
喜んだのは、長者様(ちょうじゃさま)だ。
「こんなに、働く若者は、見たことねえ。これで、給金も払わなくっていいだから。得(とく)した。」
と大喜びをしていただど。
そろそろ、秋の穫(と)り入れが近くなってきたら、その若者は、毎晩荷縄(になわ)とモッコを編(あ)むようになっただど。
長い長い荷縄(になわ)と、大きなモッコができあがった頃(ころ)、若者は、
「いやいや、大変(たいへん)お世話になりやした。約束(やくそく)通り今日は、背中に背負える分だけの稲荷(いなに)を頂(いただ)いていぎやす。」