北会津の昔ばなしと伝説 -063/238page

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20 長者屋敷(ちょうじゃやしき)

 むかし、むかし、あっただど。

 礫(つぶて)の村に長者様(ちょうじゃさま)が住んでいらったど。それは、それは、大勢の奉公人(ほうこうにん)が居(い)て大変活気(たいへんかっき)があり、日の出の勢いだったんだど。

 ある時、一人の若者が来て、

 「だんな様、どうか私を一年間使ってくなんしょ。給料はいらないから。秋になったら、背中に背負(せお)えるだけの稲荷(いなに)を頂(いただ)ければ結構(けっこう)です。どうぞ、使ってやってくなんしょ。」

と頼んだだど。

 長者様(ちょうじゃさま)は、大変欲(たいへんよく)の深い人だったので、給金はいらないって言うし、背中に背負(せお)える分だけの稲荷(いなに)で、働いでくれるんでは、損(そん)は無(な)いと計算して、一年間だけ働いてもらうこと


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