北会津の昔ばなしと伝説 -066/238page
「どうもありがとやした。」
と言って、スタスタと立ち去っていっただど。
たまげたのは、長者様(ちょうじゃさま)で、まさが一年分の稲束(いなたば)全部持っていがれっとは、思ってもみながったので、長者様(ちょうじゃさま)はがっかりして、床(とこ)に就(つ)いてしまうようになっただど。
それから、長者屋敷(ちょうじゃやしき)は、一年、二年と過ぎるうちに、家の運がかたむき、いつしか家がつぶれてしまっただど。
今、その屋敷跡(やしきあと)には、稲荷様(いなりさま)が残っているだげだど。