北会津の昔ばなしと伝説 -067/238page
21 鎮守様(ちんじゅさま)は犬(いぬ)がきらい
むかし、むかし、あったどよ。
本田村(ほんだむら)の鎮守様(ちんじゅさま)がある年の正月十五日[望(もち)の正月]の晩(ばん)の賽(さい)の神(かみ)の火祭りを見ようと思っただど。折り良く雪も止んだので、早目に夕食をすませて、社(やしろ)を出て賽(さい)の神(かみ)の現場を目指して急がれたんだど。
望(もち)の正月にもなっと、積雪も一番深い時期で、道(みち)は今のような直線道路などなく、曲がりくねった、しかもひと一人がようやく通れる程(ほど)の道幅(みちはば)、おまけに馬の背中のようにまん中が高く両端(りょうたん)が低く、明るい日中でも歩きづらいところだったど。
家の軒下(のきした)は比較的(ひかくてき)積雪が少ないので通路がわりになっていたんだど。鎮守様(ちんじゅさま)が、その軒下(のきした)を通ったら突然(とつぜん)背後から、犬が、