北会津の昔ばなしと伝説 -090/238page

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29 両堂(りようどう)のお不動様(ふどうさま)

 昔々、大同(たいどう)の頃(ころ)、両堂(りょうどう)には大きな沼があっただど。その沼は細長く南北にのびててな、その端(はし)は中荒井(なかあらい)まで続いてただど。この沼は湧水(ゆうすい)による沼だったから、夏にどんなに日照(ひで)りが続いても水が無くなんねぐって、冬はどんなに寒くなっても氷がはることはながった。

 お不動様(ふどうさま)は、この沼の主(ぬし)でな、お不動様(ふどうさま)は初め、沼の端(はじ)の小さな畦(あぜ)地に、小さな祠(ほこら)を建ててお奉(まつ)りしてあってな、沼頭(ぬまかしら)のお不動様(ふどうさま)って呼ばっちたんだど。

 両堂(りょうどう)のお不動様(ふどうさま)は霊験(れいけん)あらたかな神様でな、お願いしたことは、すべて叶(かな)えてくれんだど。例えばな、目の病(やまい)にかかったり、眼(まなこ)の弱い人が信仰すっと、すぐ治っちまうだど。この御利益(ごりやく)のすばらしさは、近所の人たちはもちろん、遠くの人々にも知れでな、日に日に祈願する参拝者が多くなっただど。それで、自然と参道が広くなってきただど。字古屋敷(あざふるやしき)にあった両堂(りょうどう)の家々も一軒移り二軒移りして、参道の両側に集まってな、今のような家(や)並


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