北会津の昔ばなしと伝説 -102/238page
この白髪(はくはつ)の老人は、観音様(かんのんさま)の化身(けしん)だったといわれているんだど。
それからはこの松を大切に育てたので枝葉も繁(しげ)り、みごとな松になったんだど。ところが田植えどき、若い女の人が、洗濯(せんたく)した下着(したぎ)を三鈷の松にかけて干(ほ)したところ、不浄(ふじょう)のものだったせいか、たちまち枯れてしまったんだど。
蓮華寺(れんげじ)の坊(ぼう)さん達は大層驚(たいそうおどろ)いて境内(けいだい)をくまなく探したところ、数日後三葉(さんよう)の松が育っているのを見つけたんだど。
その後、伊達政宗(だてまさむね)に攻(せ)められ、その兵火(へいか)にかかった蓮華寺(れんげじ)は、現在の下荒井(しもあらい)の地に移転したが、その時も三鈷(さんこ)の松を移植(いしょく)したんだど。