北会津の昔ばなしと伝説 -113/238page
34 人身御供(ひとみごくう)の 話(はなし)
「むかしナアあるところに情深(じょうぶか)い庄屋様(しょうやさま)があったとよハァー」
「おばんちゃ 庄屋様(しょうやさま)ってなんだア」
「庄屋様(しょうやさま)つうのはこの辺のおやかっつぁまのことだべえ」
「うん それから」
「ある時その庄屋様(しょうやさま)が夢を見だとサア なんでもハアおっかねえ面つきで白い頭の毛はぼうぼうとして前さ下り金壷(きんつぼ)まなぐで白い着物を着て枕(まくら)もとに突っ立って『こらやい、おめえの家のぐしに白羽の矢が立ったぞ。おめえは娘が八人もいるが十八になるずうと一人ず つ人身御供(ひとみごくう)に上げんだぞ 俺はこの鎮守様(ちんじゅさま)のお使いだ』」
「人身御供(ひとみごくう)ってなんだ」