北会津の昔ばなしと伝説 -118/238page
35 白(しろ)い雀(すずめ)
大川筋(おおかわすじ)の左岸のとある村に一人の百姓がいた。農業だけでは暮らしが立たないので、大川で川魚を取ったり川石を採ったりして生活の資にしていたので、誰いうともなく石鰍(いしかじか) の綽名(しゃくめい)をつけられた。
ある日例のように本郷川原(ほんごうかわら)に出て漁をしようと思って、中洲(なかす)を歩いていたら、白い小鳥がチチッと鳴きながら飛んでいる。見ればどうも雀(すずめ)らしい。珍しいこともあるもんだと思って、捕えたくなり、手にしていた網(あみ)を投げかけると、うまく引っかかった。あの男は大切にはけごに入れて手拭(てふき)で蓋(かい)をして家に持ち帰った。
「おっかあー今けえった。これを見ろ。これを売るんで烏籠(とりかご)も出してくろ」
彼はそう叫んだ。妻女は烏籠(とりかご)を持って出て来た。
「おとうーこりゃ雀(すずめ)じゃねえだかよ 白い雀(すずめ)だ どこで捕った。」