北会津の昔ばなしと伝説 -125/238page
「ああいいのくれねえわい、田さ水かげでくっちゃら娘一人嫁んくれるわい」
なんて。んじぇ今度(こんだ)猿は田の方向いで、
「ジャージャージャージャー、ジャージャージャージャー」
小便たっちゃだど。したらたぢまぢ田(たあ)が水いっぺえんなって、水かがっただど。
「いやいやほんとんありがどう」
なんては言(ゆ)っただげんじょ、家(うつ)つぁ帰って来てお爺(じん)ちゃはぁ座敷(ざしぎ)さ寝っちまっただど。
んで夜んなって夕飯食うがど思っただげんじょ、お爺(じん)ちゃ寝で出で来ねがら、
「呼ばってこぉ」
なんて言(ゆ)わっちぇ、一(いぢ)番上の娘が呼ばりさ行っただど。
「お爺(じん)ちゃ、夕飯食わっしぇよぉ」
なんて。
「うぅ、にしゃおれの言(ゆ)う事聞(ごどき)いでくれっかぁ」