北会津の昔ばなしと伝説 -126/238page
なんて。
「ん、あのお爺(じん)ちゃの言(ゆ)ごどは何(なん)でも聞いでやるわい、何(なん)だよぉ、言(ゆ)ってみっせえ」
「猿んどこさ嫁さ行ってくんにぇがぁ。つうのは今日田さ水かげしたら、まぁ水かがんねぐってしょうがねぇがらぁ、おれの家(うぢ)の三人いる娘の内(うぢ)一人猿さ嫁さくれっから、あの田さ水かげでくろつったら、水かげでもらって、今度(こんだ)嫁さくれんなんね約束し(す)っちまっただげんじょ、なじょだまぁ嫁さ行ってくんにえがまぁ、猿んどござ」
なんて。
「やんだおら」
なんて、座敷(ざしぎ)出でっちまっただど。
「ああ、やっぱしやんだべなぁ」
なんて、お爺(じん)ちゃ一人でまだがっかりして寝っただど。したら二番目の娘が来ただど。
「お爺(じん)ちゃあ、飯(まんま)食わっしぇよぉ」