北会津の昔ばなしと伝説 -136/238page
子めら達(だぢ)がいだだど。
「ああむぞせなぁ、こらこら犬可愛想(かわいそ)だがらいじめねで、この布ど取っけねがぁ」
つっただど。
「ああいいよう」
なんて。子めら達(だぢ)はその布ど犬っこ取っけだだど。
「ああ可愛想(かわいそ)だなぁ」
お爺(じん)ちゃは犬だいで家(うっ)つぁ帰ってきたのはいいだげんじょ、布売んにぇぐって銭(じえに)んなんねがったがら、お婆(ばん)ちゃに何(なん)て言(ゆ)われっかど思ってはぁ心配(しんぺ)でしょがねえがら、裏の柴荷の陰さ犬だいで隠(かぐ)っちだだど。したい(え)暗ぐはなったしお婆(ばん)ちゃ、
「何(なん)だってお爺(じん)ちゃ遅い(おせえ)なぁ、来(こ)ねなぁ」
なんて言(ゆ)って、
「んじゃだんだん飯(まんま)ごしぇしてっかぁ」