北会津の昔ばなしと伝説 -137/238page
なんつって、裏の柴荷のどごさ焚ぎ物取りさ行ったら、
「ワンワン」
って、犬の鳴ぎ声すんだど。
「あら何(なん)だべぇ」
なんと思ったら、その焚ぎ物荷の陰にお爺(じん)ちゃ犬抱いでいらったど。
「あら何(なん)だよお爺(じん)ちゃ、こんなどごに何してだのまあ」
「ん、いや布売りさ行っただげんじょ、ひとっつも売んにぇぐってまぁ、銭(じえに)んなんねがったがらがっかりして、もう悪りど思ってこごにいだだぁ」
なんて。
「んなごどあっかまぁ、早ぐ寄っせまぁ、大変くたびっちゃべ、大変だったべぇ」
「いやいや本当(ほんと)に売んにぇぐって、しょうがねっていじめらっちぇだこの犬ど布取っけできっちまった」