北会津の昔ばなしと伝説 -144/238page
「枯木に花を咲かせましょう、チリリンパラリンパラットセェ」
つったらば、殿様の前の枯木にきれい(え)に花が咲いだだど。そしてそのいいお爺(じん)ちゃはごほうびいっぱいもらっただど。
それ見でだ悪りお爺(じん)ちゃが、
「よし、じゃおれもやってみんべ」
つって今度箕(こんだみ)さ灰(あぐ)持って、殿様の前の枯木さ登って、
「枯木に花を咲かせましょう、チリリンパラリンパラァットセェ」
つったっけが、花はひとっつも咲がねぐって、その飛ばした灰(あぐ)が皆(みんな)殿様の目さ入っちまっただど。今度(こんだ)殿様怒(おご)って悪りお爺(じん)ちゃんどご切っちまっただど。
ざっと昔栄(むがしさげ)えだ。
福島県教育委員会編 『ふくしまの昔話と伝説』から転載