北会津の昔ばなしと伝説 -152/238page
「そんじゃ袋(ふぐろ)さ入っち取っとぐべ」
そういうごどで、今度(こんだ)坊さんと小僧が袋(ふぐろ)持ってきて寒風(かんかぜ)[大寒に吹く風]でっこら袋(ふぐろ)さ詰めで、お寺(でら)の天井(てんじょ)さ吊しておいだだど。
ほんじぇ今度(こんだ)土用んなって、
「いやいやいや暑(あづ)い暑(あづ)い、暑(あづ)いなぁ。今日おれ檀家(だんか)さお法事ん行ってくっから、留守番してろよ」
和尚さまが言(ゆ)ったので、
「はいはいわがりました」
小僧は留守番してだだど。とごろが小僧はお寺(でら)の前掃除やってだだげんじょ、土用なもんだがら暑(あづ)ぐって暑(あづ)ぐってしょうがねえだど。
「いやいや暑(あづ)つつ、暑(あづ)いなぁいやぁ暑(あづ)い暑(あづ)い。あっ、そうだ、これ寒の内(うぢ)に取っといだ風あんだがや、これちいっとだげあだってみっか、ちいっとだげならよがんべぇ」