北会津の昔ばなしと伝説 -187/238page

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と、もう一口飲もうとしたとき、殿さまの頭上の低くのびている松の枝から、一匹の松ケムシが、殿さまの飲んでいる器に飛び込みました。

 殿さまは、びっくりして、その器を投げすて、大きな声で、

 「無礼者(ぶれいもの)、このにっくき松ケムシめ。ここにこんな松があるからだ。この松をすぐ切れ」

と、命じました。すぐその場で、この老松は切られてしまったのです。

 お城に着くころから殿さまは、気分が悪くなり、起きていられなくなり、お城に着くと

挿絵 玉光堂の腰かけの松


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