北会津の昔ばなしと伝説 -196/238page
49 鈴淵(れいぶち)の由来(ゆらい)
鈴淵のすぐ西側を流れている川があります。この川は、むかしは曲りくねっていて、そのあちこちに沼があったといわれております。
鈴淵の村前のあたりに沼がありました。その辺の地名を、字(あざ)スズブチと呼んでいます。月夜の晩に、この沼の近くを通ると、鈴をふったような音が聞こえてくるので、村人は、この辺の地名をこういうようになりました。
むかし、ある鈴淵の男が、夜、魚取りにこのスズブチに出かけました。夜中に魚取りに行くことを、ヨヅキに行くといいます。
この夜は、おぼろ月でした。葦(あし)やカヤや草が、あたりには密生しておりましたので、おぼろ月のうす明りをたよりに、魚を取りながら、スズブチに近づきました。
スズブチに近づくにしたがい、カランコロン、カランコロンという鈴の音のような音が、