北会津の昔ばなしと伝説 -210/238page
52 オシンメイサマとおひなさまの由来(ゆらい)
あるところで、美しい娘が、ある立派なお屋敷に、お腰入れ[結婚]をしました。
ところが、今でいう子宮ガンででもあったのでしょうか。出血がひどくて困っておりました。でも誰にも言えずに、また誰にも知らせないでおりました。
お腰入れして間もなくこの出血のことが、たまたま家の人に知られてしまいました。むかしは、血は不浄(ふじょう)のもの、不吉なものとして嫌われておりましたから、姑(しゅうとめ)たちに
「こんなけがれた体の女は、わたしの屋敷におくわけにはいきません。きょう限り、ひまをやります。」
と、新婚間もない若い二人の間を、生木をさくようにさかれて、お屋敷を追い出されて、小さな小舟に乗せられ、海に流されてしまいました。
それから数日後、ある浜辺に一そうの小舟が流れ着きました。浜辺の人々は、何だろう