北会津の昔ばなしと伝説 -222/238page
「どれ、見せてみろ。」
と言って、とった魚を入れて沼にひたしておいたはけごを、水からあげて見ました。
「お、だいぶつったな。ここからばかりつったのか?」
「そうだよ。」
「ほら、またひいているぞ。」
と、お参り途中で、釣見物(つりけんぶつ)です。一緒に来た者が、
「おい、だんだん行くべで。」
「ああ、そうだな。行かんなんねえな。」
と、立ちあがり、あらためて沼を見ました。きれいな湧水(わきみず) の沼でしたが、底には泥のたまっている沼でした。
今まで、何回となくこの道を、仕事などで、高田や新鶴へと往(い)き来(き)していたのですが、ここに沼のあることを、気にとめないでおりました。