北会津の昔ばなしと伝説 -225/238page
55 寺堀(てらぼり)の毘沙門天(びしゃもんてん)
寺掘(てらぼり)地区内におまつりしてある毘沙門天(びしゃもんてん)さまは、そのむかし、寺堀(てらぼり)と西麻生(にしあそう)の間を通っていた法用寺(ほうようじ)街道の近くを流れていた川の淵に、棄(す)ててありました。
寺堀(てらぼり)と西麻生(にしあそう)の間は、雑木林と葦(あし)やつが、ずうっと清水の川にそって生えており、その川も曲りくねって流れていたので、その葦(あし)やつに入ると方角が分らなくなるくらいでした。
この辺は地下水が高く、いたるところにチョロチョロとわき水のところがありました。この川に、寺堀の子供達が、魚取りに来ました。魚を取りながら、川をのぼり、法用寺(ほうようじ)街道の南まで来たとき、先に行っていた一人が、大声で叫んでいるのが、葦(あし)の間から聞こえてきました。
「おーい。ここに、変なのがあるぞー。大きな侍のようなかっこうをした、人形みたいな