喜多方市の文化財 -002/055page
能野神社長床
長床(ながとこ)は、熊野神社の拝殿で九間×四間の、茅葺き 寄棟造りの建物である。直径一尺五寸(45.4cm) の円柱44本が、等間隔(十尺=303cm)に5列に 並んでおり、全部吹抜けになっている。また外回り 一間通りが化粧屋根裏の廂(ひさし)の間として区切るよう に並べてある。中央の桁行七間、梁間二間のところ は、天井を張った身舎(もや)となっている。各柱の上には、 平三斗(ひらみつど)の組物が乗り、中備(なかぞなえ)には間斗束(けんとづか)を用いている。
長床の建築年代は明らかでないが、その様式は、 藤原時代の貴族の住宅建築として知られる寝殿造り の主殿の形式をふんだもので、鎌倉初期はくだらな いものといわれている。
慶長16年(1611) の大地震で倒壊したあと、同19年に再建され たが、地震で折れた旧材をそのまま使用したため、柱を短かくしたり、柱 と柱の間隔を縮めたり、平三斗や間斗束などの組物をなくしたりしたため、 創建時よりも一回り小さいものとなった。
その後何回かの修理をおこなったが、傷みがひどいため 昭和46年から49年にかけて解体修理をおこない、 創建時の長床が復元され、鎌倉時代の遺構として、東北地 方では他に類を見ないものとなった。
所 在 地 慶徳町新宮字熊野 熊野神社
指定年月日 昭和38年7月1日