目で見る 熱塩加納村の文化財 -026/144page
指定文化財
国指定文化財
種 別 有形文化財・工芸品 名 称 椿彫木彩漆笈【つばきほりもくさいうるしおい】 指定年月日 昭和三十五年六月九日 所在地 大字熱塩字熱塩甲七九五
所有管理者 (宗)示現寺 笈は紐を連尺として背負う格納【かくのう】具で、もっぱら行脚僧【あんぎゃそう】や修験者【しゅげんじゃ】がこの箱の内に仏具、経巻【きょうかん】、食器類をおさめ、ほかに衣【ころも】ばこ、水瓶【すいびょう】をつけて遊行用【ゆぎょうよう】としたものである。
この笈は、寺伝によると源翁和尚【げんのうおしょう】所持と伝えられるものであるが、時代は下って室町時代終り頃の会津工人【こうじん】の作といわれている。材質はヒノキ材総高八八・三センチメートル、三段造りの三脚箱である。上三段両開扉【りょうかいひ】で、内部は上下三段に区画され、一段ごとに二枚の開戸【かいこ】を設け、扉面に椿樹を彫り、一面に万開の花椿・枝・葉を表現し、朱里漆、花蕊【かずい】に金箔を押し、花は朱漆で彩ってある。両端は菊花の文様、下段は菱形の連続文を彫り朱黒色漆を施してある。
このように見るところ椿の葉や花の厚みの重々しい感じ は中世的であり、全体に重厚で素朴である。このように椿 は示現寺笈に由来して「示現寺椿」とも呼ばれている。同 じ国の重文である会津坂下町高久泰寿氏所蔵の笈と共に、 当代を代表する美術工芸品の最高品である。
現在、東京の国立博物館に委託保存されているので現物はわが村では見ることができない。