やまとの花 -001/005page
春の花
フクジュソウ (キンポウゲ科) 町内のあちこちに群生地があり、雪解けを待ちかねて咲く、まさに山都に春を告げる花である。福寿草まつりの行われる沼ノ平地区は、今では全国的に知られるようになった。
ミズバショウ (サトイモ科) 雪どけとともに真っ白な花(仏炎苞)が咲く。本川、九郎三郎沢、小白布沢沿いにいくつかの群生地がある。湿地の植物で、花の終わった後、葉が大きく成長し、80cmにも達する。
ザゼンソウ (サトイモ科) ミズバショウとほぼ同じ時期に同じ場所で見られる。宮古や堰沢にも自生しており、花期の仏炎苞は暗紫色で美しい色があせやすい。同じ仲間にヒメザゼンソウがある。
オオイヌノフグリ (キンポウゲ科) 日あたりのよい道ばたや土手、畑等にふつうに見られる早春の花で、越年性の帰化植物である。るり色の小さな花がいちめんに咲くようすは、春の野を明るくいろどる。
イワウチワ (イワウメ科) 宮古・早稲谷・一ノ木から藤巻・川入にかけての山地にはふつうに見られ、所々に美しい群落をつくっている。龍ノ平等岩場にも多く、方言名はイワザクラという。
カタクリ (ユリ科) 早春、福寿草が盛りを過ぎたころに咲き始める。早稲谷、中反、宮古等に大きな群落が見られる。日あたりのよい林の中や野原に咲き、5月の末には枯れ、玉状の根茎で冬を越す。
マルバマンサク (マンサク科) 日本海側の雪の多い地方に多く、マンサクのように高木にならない。春早く雪の中から花が咲き始める。「先ず咲く」ということからこの地方ではマンサクと呼ばれるようになったという。
エゾエンゴサク (ケシ科) 山間部の林のへりや荒れた畑等に群生している。カタクリの花の咲くころ、青紫色の花がふさ状に咲く。昔の子供達はオバコノチチと呼んで、この花の蜜を吸って遊んだ。
キブシ (キブシ科) 町内全域、特に山麓の斜面に多い、早春に淡黄色でつり鐘形の花がふさ状に多数咲く。低木で、昔の子供は、枝のずいを抜き出して口に含み、音がするように突き出して遊んだ。
キタコブシ (モクレン科) この辺りに自生しているのは葉のやや大きいキタコブシである。4月末から白い花が木全体をおおって咲く。この地方でコブシと呼ぶのは実はタムシバであることが多い。
ニリンソウ (キンポウゲ科) 渓流沿いのやや湿った土地に群生している。白い花弁に見えるのはがく片で5〜7枚ある。若い芽は食べられるが、葉が有毒なトリカブトに似ているので注意が必要。
ラショウモンカズラ (シソ科) 渓流沿いの木陰等に多く自生している。5月のはじめ頃、淡い香りのある紫色の花が咲く。突き出したような形の花を羅生門の鬼の腕にたとえて羅生門カズラと呼ぶ。
ショウジョウバカマ (ユリ科) 林のへりや、田んぼの土手など、やや湿った場所に雪が消えるとともに、濃紫色から淡紅色の花が咲く。その花をかんざしに見立てて方言名はジョロウバナという。
シラネアオイ (シラネアオイ科) 早稲谷川・本川・一ノ戸川の源流一帯に雪が消えると咲き始め、飯豊山では7月に咲く。美しい淡紫色の花弁と見えるのは4枚のがく片である。
キクザキイチゲ (キンポウゲ科) 早春の山野に咲くやさしい花。がく片は白または淡紫色で8〜13枚ある。同じ仲間にアズマイチゲがあり、ともに花を摘むと雨が降るといわれ、方言名はアメフリバナという。