やまとの花 -002/005page
夏の花
トキソウ (ラン科) 日あたりのよい湿地に見られる。花期は5〜6月。限られた地域の小規模な湿原に生えている。近年、トキソウの生育している湿原が荒れてきているのが目につく。
ナツズイセン (ヒガンバナ科) 沼の平をはじめ、限られた地域にかたまって咲いている。果実を結ばないため種子で繁殖することができない。葉は早春に茂り、初夏に枯れ、花はお盆のころに咲く。方言名はオニノベロ。
トチノキ (トチノキ科) 深山の沢沿い、山の麓などに多い。花は初夏に咲き、ふさ状で円すい形に立ち上がって見事である。大木になり、材はやわらかく、そば打ちの鉢や板(ばん)、実はとち餅になる。
ヒメサユリ (ユリ科) 田植えのころに花が咲くのでサツキユリの名がある。オトメユリの別名でも親しまれ、飯豊山から標高300m位の一ノ木近くの山まで自生しているが、近年少なくなってきた。
ニッコウキスゲ (ユリ科) 町の中心部にある堂峰山から飯豊山のやや湿った土地に生えている。花は低地で5〜6月、飯豊山で7〜8月に咲く。朝開いて夕刻には閉じる一日花である。
レンゲツツジ (ツツジ科) 日あたりのよい野山や、山の田んぼのほとりに群がり咲いている。昔、田を耕し始めるころに花が咲くので、田うないツツジと呼ぶところもあった。方言名はイヌツツジ。
ハクウンボク (エゴノキ科) 初夏のころ、一ノ戸川や本川沿いの山の急斜面に多く見られる。白い花が白雲のたなびくように群がって咲くのでこの名がある。方言名は、大きな葉の形からオオカメという。
ヤマユリ (ユリ科) 里近くの山野にふつうに見られる。りん茎は大きく食用にもされ、人々に親しまれている花だ。花期は7〜8月で、一本に数個から30個もの豪華な花が咲いて夏の山を飾る。
ヤマボウシ (ミズキ科) 里近くの雑木林の中に多い。白い花を山法師に見立てた名。果実はクワの実に似た集合果で熟すと食べられる。材質が固く、ナタ、カマの柄等の生活用具に用いられる。方言名はヤマグワ。
ネムノキ (マメ科) 宮古川・早稲谷川・一ノ戸川の川筋に多い。7月から花が咲き始める。桃紅色で美しく見えるのは長いおしべ。暗くなると葉を合わせて眠ったようになる。方言名はコウノキ。
クガイソウ (ゴマノハグサ科) 7〜8月に茎の先端に長いふさ状で紫色の花を咲かせる。葉が何層にも輪生するので、その様子を九階草の意で名づけた。やや深山の沢沿い、中でも大滝周辺には多く見られる。
クルマユリ (ユリ科) 飯豊山から町中心部の堂峰山、上林の山々にまで広く生育している。茎の中央部分に葉が輪生状についている様子からクルマユリの名がある。7〜8月に赤橙色の花が咲く。
イイデリンドウ (リンドウ科) 世界でも飯豊山頂でしか見られないこの花は、文字通り、「飯豊とそばの里・山都」のシンボルともいうべき花である。同じ仲間のミヤマリンドウは湿地を好み、本種は乾燥地を好む。