高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -020/066page

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 クジラは生物の歴史上最大の動物で、しかも、完全に水中生活に適応し、体も流線形をしています。体の各部分の骨も巨大です。力強く泳ぐため、大きな頭と玩丈(がんじょう)でしなやかに曲がる背骨(せぼね)をもっています(第8図)。第9図にクジラの系統図を示しましたが、最古のクジラ化石は始新世の地層(アメリカ合衆国)から発見されています。クジラの先祖の出現は、それよりさらに古いと考えられています。クジラの先祖が陸上生活の四足動物であったことは、現在のクジラの骨格からもうかがえます。つまり、クジラの前足の外形は、ヒレ状ですが、その骨組みが陸上哺乳動物(第8図)の前足のものと基本的に同じです。またクジラには、外見上後足がありません。しかし体の内部に後足の骨がわずかに残っています。また、極めてまれに体の後方の腹部に、後足の隆起がみられることがあります(第10図)。

第8図 クジラとウマの骨格の比較
第8図 クジラとウマの骨格の比較
(クジラには後足の骨が残っている、矢印)

第9図 クジラ類の進化系統
第9図 クジラ類の進化系統(シュライパー、1991)


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