高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -021/066page
ところで、塩坪層の堆積した中新世の未には、すでにヒゲクジラと歯クジラに分かれていて、それぞれ、多くの仲間がいました。当時のクジラの体長は、20mに満たないものばかりで、現在生きているシロナガスクジラのように30mに達するものはいませんでした。
発見されたクジラ化石はヒゲクジラか、歯クジラのものか、これまで決め手となる部分の骨化石が見つかっていませんでした。しかし、1996年秋に発掘された下顎骨の一部の化石をみると、その断面はヒゲクジラの特徴をもっています。したがって、その他のクジラの化石は離れて産出しているものの、その一部はヒゲクジラのものもあると思われます。今後の研究が期待されます。
第10図 マッコウクジラの後あし
体表から外へ突きでて、陸を歩いていた名残りがみられる珍しい標本。
(宮城県牡鹿町クジラ博物館蔵)