西会津町勢要覧 -003/022page
ばんちゃのはなし 桐の風土
昔、女の子が生まれっとな・・・・
となりの桐も、おがったなあ。
ゆうこちゃんも、きれいになっつまって。
来年、嫁さ行ぐんだと。
ばんちゃも、桐でタンスをこしゃいでもらって
嫁に来たんだよお。ほ〜ら、見でみ、
まあだ、きれいに使ってんべ。◆ 娘が生まれるとこぞって桐を植えた
西会津の地には古くから、家に女の子が生まれると、庭に桐の木を植える習わしがあった。それは娘が成長して嫁ぐ頃には、桐タンスの一つでもと思う親心。桐は、初夏には紫のかぐわしい花を咲かせ、娘とともにスクスクと育っていく。やがて結婚が決まると、桐タンスや桐ゲタなどの花嫁道具に姿を変えて、一緒に嫁いで行くのだ。桐のタンスは虫がつかないとされ、着物などの収納には、「やはり桐タンス」と信頼されている。時は流れ時代が変わった今も、その年に子供が生まれた家には、町から桐の苗木が贈られている。
◆ 仲人は七足のわらじをすり切らす
結婚といえば、昔はすべて親同士が決めたもの。それは昭和初年頃まで続いた。そこで大切な役割を担ったのが仲人。親戚や知り合いの中でも、信頼のおける人に仲人を頼んだものだった。仲人になると、何度も両家に足を運ぶのでわらじを七足もすり切らすと言われた。やっと縁談がまとまると、仲人は吉日を選んで酒一升とスルメを持って嫁の家へ。そこで酒を半分飲み、残りを今度は婿の家であけ、婚約の披露とするのが習わしだった。